シンプルでソリッドな3ピースとなれば、その個性の大半はやはりヴォーカルの個性に引っぱられるところが大きい。ではこのバンドのヴォーカルで作詞者・後藤の場合はどうか。ブルージィに枯れて太い声と、一切のフェイクのない歌い方は、バンドの個性そのものだ。しかしこれがこの2ndフル・アルバムの時点で平均年齢24.5歳の世界観とサウンドなのか?と驚かされるほど、どこか昭和の男のような佇まいと語彙が満載されている。いい意味で、労働や日常に疲れることをこの若者たちはもう知っている。同時に、自然の情景や季節の移ろいを敏感に感じとる鋭敏で優しい感性もにじませる。これは若者だけのものにしておく手はない。働く大人にこそ聴いてほしい。